クモ、とりわけハエトリグモの中には、派手な色をした体を激しく動かしてダンスを踊るものがいる。その目的は、雌をひきつけること。つまり、彼らは必然的に、燃えるような赤や鮮やかな緑色を見分ける能力を持っていると考えられる。
H. pyrrithix の雄は鮮やかな色と目を引くダンスで交尾相手を誘う。(Photograph by Daniel B. Zurek)
しかしハエトリグモの目がどうやって色を見分けているのかについては、これまでよくわかっていなかった。
フィルターを使っていた
ハエトリグモの一種(学名 Habronattus pyrrithrix)が、8つの目のうちの2つを使って、緑色の光と紫外線(UV)を認識していることは以前から知られており、おそらくは赤とオレンジ色も見分けているだろうと推測されていた。そうでなければ、雄に赤い模様がある理由が説明できないからだ。そしてついに先日、上記の H. pyrrithrix を使った実験により、ハエトリグモが色を認識する仕組みが判明した。彼らは目に備わったフィルターを使っていたのだ。
5月18日に学術誌「Current Biology」のウェブサイトに公開された論文によると、H. pyrrithrix の目のうち、緑色の光を感知する目の細胞の前に、赤いフィルターが付いていることが分かったという。このフィルターは、劇場の照明にかぶせて光の色を変えるフィルターのようなものだが、色素でできていて取り外しはできない。
この作り付けのフィルターのおかげで、H. pyrrithrix は緑色と紫外線に続く第3の色を認識する能力を得ているわけだ。(参考記事:「クジャクみたいに派手なクモの新種、3種を発見」)
「原理上、彼らは人間よりも広い範囲の色を見ることができます」。論文の共著者である米ピッツバーグ大学の進化生物学者ネイト・モアハウス氏は言う。なぜなら H. pyrrithrix は「我々に見える光のスペクトルに加えて、紫外線も感知するからです」
Habronattus 属のハエトリグモの仲間には、鮮やかな体色を持つものが多い。(Photograph by Daniel B. Zurek)
人間が2つの目で行う作業を4つの目で
同大学の感覚生態学者ダニエル・ズーレック氏によると、H. pyrrithrix 程度の大きさの生物は通常、視力、目の空間解析力、感度のうち、どれかをある程度犠牲にしなければならないという。
クモの小さな目には、人間が持つような高度に発達した視覚に必要な要素(たとえば2つ以上の色を認識する特殊な細胞など)をすべて詰め込むことはできないからだ。
ところが、ハエトリグモはこうした犠牲を回避する方法を編み出した。人間が2つの目で行っている作業を、4つの目に振り分けたのだ。
「クモが持つ8つの目には、それぞれ特殊な能力が備わっています」とモアハウス氏は言う。たとえば動きを感知したり、周囲を広範囲に見渡したりといった能力だ。
今回の研究では、8つの目のうち中央にある2つに焦点が当てられた。これらは模様や色を見分けるのに適した目だという。実験においては、たとえば目を薄くスライスして高感度の顕微鏡で観察するなど、さまざまな手法が採られた。
ズーレック氏によると、フィルターの発見は完全に予想外だったそうだ。
雌の前でディスプレイ行動をする H. pyrrithrix の雄。(Photograph by Daniel B. Zurek)
フィルターを使いこなす動物たち
「フィルターは色を見分けるのに非常に適した方法です」とコーネル大学の神経動物行動学者ギル・メンダ氏は言う。
たとえば鳥や爬虫類は「油球」と呼ばれるフィルターを通して色を見ているし、蝶もまたフィルターを使っている。
しかしクモの目にフィルターが見つかったのは今回が初めてだ。(参考記事:「【動画】死闘! ミツバチ VS. ハエトリグモ」)
この新たな発見により、さまざまな研究の可能性が開かれるだろうとメンダ氏は言う。たとえば彼が興味を持っているのは、脳内のプロセスがどのように動物の特定の行動を生み出すのかということだ。ハエトリグモが赤を認識できることが判明した今、クモの脳がこの情報をどう処理するのかを研究するのもおもしろいだろう。
ズーレック氏は言う。ハエトリグモの色の認識についての研究は「ようやく入り口に立ったところです」
クモが赤やオレンジ色を見分ける仕組みを解明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/052000003/
目のDNAを植物から直接取り込んだクラゲのほうがびっくりなんだが?
NHKスペシャルでやっていたな
あの植物を人工的に選択的進化をさせれば目を持つ植物が作れるかもしれんのか
胸熱だな
動物にとっては有用なDNAだったみたいだけど、植物でどこまで応用できるんだろうなあ。
>>9
むしろ動物に葉緑素を作る遺伝子を取り入れて欲しい。
植物を食う程のエネルギーを得るのは無理だろうが、
体内の糞尿を少しだけ浄化して、呼気の二酸化炭素を少し減らし、
少しエネルギーを得られるなら、皮膚や毛髪が緑色になってもいい。
>>4
あれは面白かったね
三日月型の目だっけ
けどあれは明るいか暗いかぐらいしか判別できない原始的なものじゃなかったか?
正確には光センサーとなるロドプシンをコードする遺伝子な。
それと取りこんだのはクラゲではなくて、
クラゲのような存在に近かったと考えられる原始的な祖先動物だ。
へー、まだ良く分かっていなかったんだ
自然科学はまだまだ未知のことがいっぱい
まさかクモがヒトの目を四つに分けて真似していたとはびっくり
俺達が認識する世界とは全く違うように世界が見えてるんだろうな・・・
あくまでも仮説の1つにすぎない。可能性はあるが実際にそうだったかはまだ確定してない。
植物と動物の単細胞のような共通祖先の段階ですでにロドプシン遺伝子を獲得していたか、
植物、動物と枝分かれした後すぐに水平伝播して移ったという見方もありえる。
以前、光の反射率がどうのこうのって聞いた記憶があるんだが
昆虫の目の数を種単位で度数分布にしたグラフないかな?2眼超えでは、こいつらいくつ目を持ってる奴が多いんだ?
>>21
そもそも虫の複眼は一つの目が複数の個眼で構成されているし、さらに別個に単眼があるから個数で単純比較できないと思うよ。
ハエトリグモみたく巣をはらずに三次元的な移動を常に行うクモは、クモの中でも特に空間認識能力が発達してるんじゃないかな。
同じクモでも、クモの巣で待ち伏せ型タイプなら、ぶっちゃけ巣の平面(二次元)だけ認識できればいいのかもしれん。つっても、二次元だから単純でいいってわけじゃないと思う。女郎グモとか、測量とかなしで幾何学的な模様の巣を平然と作りやがるじゃん。ある意味、人間の空間認識能力を凌駕する平面認識能力?を獲得しているようにも見える。

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